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2011年2月11日金曜日

[マンガ] 「もやしもん」から見る食糧自給率のウソ+

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「日本国民の意識としては、7割の人が食料自給率を低いと感じている」そうです。

しかし、実際はどうなのでしょうか?

マンガ「もやしもん」に興味深い議論があったので、参考にしてみます。

もやしもん(9) (イブニングKC)

あの才色兼備な女王様キャラな長谷川遥はこのように語っています。


「日本は米の自給率はほぼ100%だし、野菜も水産物も70%を超えてるわ」
「そもそも『食糧自給率40%は低いから上げないと駄目』ってのはどうして?」
「じゃあ自給率ってのはたった3人でやってる算出作業で予測値も含まれる事とか~知られてるかしら?」

日本を除く諸外国はカロリーベース食料自給率の計算をしていないんですね。
他の国は金額ベースで計算していて、日本は金額ベースで言うと60%以上の食糧支給率になり、先進国中で特別低いワケではなくなります。

また、カロリーベースの計算方法にも問題があります。
食糧自給率=国産で賄われた熱量÷国内の食料の全熱量合計 となります。
つまり、国民が健康維持するために必要な熱量ではないのです。

Wikipediaによると「分母を摂取カロリーとして食料自給率を「国民1人1日当たりの国産供給カロリー(1013kcal)÷国民1人1日当たりの供給カロリー」として計算しなおすと日本の食料自給率は56%」だそうです。

さらに、
「食糧自給率ってのは~穀物飼料や牧草等家畜なんかのために生産されている農作物も含まれてるでしょ」
「大量に輸入される家畜用飼料トウモロコシや小麦のお陰で『割合』として国産穀物が低くなるのよ」
とあるように、私たちがイメージしている食糧自給率とは、おそらくかなり違うのが実際の食糧自給率なのです。

また、元ミス農大の武藤はこのように疑問を投げかけます。

「洋食の材料を輸入するのは別にフツーだと思うし、自給率上げるためにそれを国内で作る必要性があるのかって考えると視野がちょっと狭い気もするのよね」
「世界も見据えろとかグローバリズムなんたらとかゆっときながら食は国産国産ってねェ」

おっしゃる通りといったところですね。
そもそも、安価な労働力を持つ途上国が、農業に関して比較優位を持つのは当り前のことです。
にも関わらず、莫大な額の補助金で保護するのは、効率性を歪めることになります。

もし、農業においても比較優位を保ちたいと言うならば、高品質化と経営の最適化をはかるしかないでしょう。
いつの時代でも、美食のためならば金は惜しまない人はいるものです。

例えば、お米にしても少しくらい高くても外国のより国産の美味しい米を食べたい人は多いのではないでしょうか。
また、そうでない人は安い外国産の米という選択肢を得ることになり、家計も助かることでしょう。

もやしもんの教授はこのようにバッサリ切り捨てています。


「食糧自給率も単なる国産礼賛にすぎない」

結局、今の食糧自給率は農業補助金と高い関税を正当化する詭弁にすぎないのです。

農業政策をやめるべきとは思わないですし、食糧問題は重要なことであると思います。
しかし、このような恣意的な指標を用いた議論には何も意味がないでしょう。

まぁ、要するに「もやしもん」おもしろい!ってことです。

-加筆-
食糧危機や環境問題云々に関しては、マット・リドレー「繁栄」を読むと面白いと思います。
今度、要約してみます。


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