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2011年2月9日水曜日

[IT] AOLの買収劇とブログ・ジャーナルの要点

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「米AOLは米国時間2011年2月7日、米ネットニュースサイトのThe Huffington Postを3億1500万ドルで買収することで合意したと発表した。」

と、気になるニュースが出たのですが、よくAOLについて知らないぞと。
というわけで、調べてみました。

□AOLの歴史

AOLは、アメリカのIT企業で、アメリカを中心に世界各国で提供するインターネット接続サービスとポータルサイトを展開しています。

AOLはIT企業としては歴史が古く、1985年にサービスを開始しています。
当初は、WWWの前身とも言える同名AOLというパソコン通信サービス(インターネットではない)を行っていました。

結局、うまくいかなかったものの全盛期で有料会員2000万人を集め、年間会員料の収入だけで50億ドルの収益を得ていました。
このサービスがメール、チャット、掲示板などの仕組みを広め、初期のインターネットに影響を与えたと考えられています。

その後、2000年にタイム・ワーナー(タイム誌・CNN・ワーナー・ブラザーズ等)を買収した時は、世界最大の複合企業体になりました。
当時は、AOLによるインターネットの独占が心配されるほど、大きな影響力を持つ企業だったようです。

しかし、ITバブル崩壊の煽りを受けたAOLは業績が悪化し、結局タイム・ワーナーとの合併を解消し、独立企業として再出発しました。
IT業界での圧倒的な地位をYahoo!に譲り渡した後は、あまり元気の良いとは言えない状況が続いていたようです。
とはいえ、そのYahoo!も今ではその地位を明け渡しているわけですが…。

AOLはネット接続事業や広告収入が落ち込み、昨年は全従業員の3分の1にあたる2500人近くをリストラしました。

□AOLによる買収とコンテンツ事業への方向転換

そんな中、最近AOLの買収がまた話題になり初めているようです。
どうやら2009年にTim Armstrong氏がCEOとなって以来、買収を積極的に行いコンテンツ事業の拡充を急いでいると見られます。
つまり、既存のインターネットポータルからコンテンツ企業への移行を目指しており、過去1年間で買収に5.3億ドルを費やしています。

よく知られているところでは、2010年9月にTechCrunchを買収しています。
そのほかにも、ビデオ配給大手の米5min Mediaとソーシャル・ソフトウエア・ベンダーの米Thing Labsなどを買収しています。

今回のHuffington Postは、Barack Obama米大統領といった著名人の記事を掲載するニュースサイトとして人気があり、月間ユニークビジター数は2500万人を超える成長企業です。
ニュースや地域情報、エンターテインメント、動画など既存のコンテンツを統合して作られる新規コンテンツ事業は、月間ユニークビジター数は米国で1億1700万人、世界では2億7000万人を目指すそうです。

Huffington Post買収がブログ・ジャーナルに与える影響は大きいと言えます。
Huffington Postが看板となり著名人の記事などのプレミアムコンテンツを提供し、技術ニュースの代名詞とも言えるTechCrunchなどは各分野のニュースを扱う、複合ブログ・ジャーナルとも呼べるものになるのでしょう。

メディア王Rupert Murdoch氏が手がけるiPad新聞「The Daily」が話題になっている今、これらのコンテンツどのように競合していくのか気になりますね。
ブログ・ジャーナルは大手のニュースサイトや新聞に比べると、読者からの信頼感といった点でやや劣ると思われるので、そこをカバーしつつさまざまな記事を出せるかが焦点になるでしょう。
その点、Huffington Postは著名人による記事によって信頼感をカバーしているので、うまいのではないでしょうか。

□日本のブログ・ジャーナル

転じて日本でも、ブログ・ジャーナルが少しずつ広がりつつあるように思います。
現在、自分自身が読んでいるものだけでも、アゴラやBLOGOS、TechCrunch、TechWave、MarketHack、Gizmodeなどなどがあります。

正直なところ、ニュース全般を扱うアゴラやBLOGOSは、まだまだ記事の質に差がある玉石混交なように感じます。
しかし、ひとつのトピックに関しても賛成反対のさまざまな記事が読めるブログ・ジャーナルは、新聞にはない魅力があると思います。

今までは、個人による日記が主なものであったブログも、著名人やプロライターによるブログ×Twitterという形で、変化が訪れたということですね。

特に、Twitterとの相性はとても良いと思います。
ブログの読者100人を集めるのはなかなか苦労ですが、フォロワー100人集めるのは比較的容易です。
そして、記事の更新をツイートすればフォロワー100人にリーチでき、さらに良記事でリツイートされれば大きく広がります。
アクセスを集めるのが、以前に比べて容易になったのは明らかでしょう。

最近にきて、再評価されつつあるブログという媒体を使ったブログ・ジャーナル。
個人的には、今後も伸びてほしいと思います。

(参考)
AOL - Wikipedia
AOL、ネットニュースサイトのHuffington Postを3億1500万ドルで買収
AOL、ITブログネットワーク「TechCrunch」を買収へ


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