かく言う私も、花粉症で悩まされています。
そんな花粉症患者が一度は思ったことがある想い。
「杉なんて全て伐採してしまえばいんだ!!!!杉伐採!!!!」
政治家にだって花粉症の人はいるはず!なのに何で伐採されないんだ!と、つい憤ってしまいます。
そこで、調べてみました。
何で杉は伐採されないの?
―杉の歴史
日本の杉林の殆どは人工林です。
戦後復興期に木材需要の増加に伴って、国策として元からあった天然林を伐採して植林が盛んに行われました。
この時、加工しやすく木材として有用、成長が早いなどの理由で檜、杉が重用されました。
しかし、植林したは良いものの月日の流れと共に、外国産の木材の輸入などにより採算に合わなくなりました。
こうして、管理されずに杉の造林地が放置されているという状況が、花粉害(飛散量)を助長しているそうです。
―伐採しない理由
・治山・治水のため
大規模に伐採すると土砂の流亡が激しくなり、土砂崩れを誘発する可能性があります。
杉の伐採後に、土壌が浸食されたりすると水の保持能力が落ちます。
大雨の時に河川に水が短時間で流れ込み、洪水が頻発する可能性も出てきます。
・伐採や手入れに多額なコストがかかる
国も財政難を理由に、放置された杉の伐採に消極的である状態が続いているようです。
しかし、花粉症患者の増加の深刻な状況の為、最近では花粉の少ない品種に改良されたものも出来てきています。
・杉は二酸化炭素吸収量が多い
特に、地球温暖化防止の観点からは、スギは最も二酸化炭素の吸収量が多い樹種のひとつです(下表参照)。
・民間林への対応が困難
国は国有林を手放す方向ではありますが、民間林を買い取る政策は取っていません。
杉の山林を持つ地主さんなども、手放したくても売れないでいるのが現状のようです。
ある山林の持ち主と思われる方の書き込みにこのようなものがありました。
祖母から受けた山林、こうも林業が衰退してしまえば負の遺産です。
山の手入れに農協からお金を借りて、都会の給料で返済してます。売ろうにも買い手はつかない。
花粉症の原因は杉の花粉ですが、勝手に切れません。
行政の許可が必要で土壌の崩壊や保水力に悪影響が出るからです。
道路作って環境を破壊する位なら、自然を取り戻すことにお金をかけて欲しいと私も思います。*1
・医療メーカーへの打撃
現在、花粉症の患者数は約2,000万人、市場規模は業界推計で1500億となっており、その内訳は市販薬が400億、マスクで100億です。*2
この推計が正しいとすると、全杉を伐採すると1500億円の市場が消滅することになります。
もちろん、その1500億円分は他の消費に使われるとも考えられますが、業界からの反対は大きいでしょう。
―現在の取り組み
・少花粉杉や広葉樹への転換
これは林野庁が補助金などの支援*3も行っており少しずつですが、進めているようです。
・緑の募金を活用した「花粉の少ない森林づくり」活動
伐採しても使うところがないと困るということで、国産木材の使用を促進する「木づかい運動」などなどが行われています。*4
・花粉症対策品種の開発
花粉が飛ばない杉ならば良いではないかという発想から生まれた品種改良による花粉対策です。
少花粉スギ135品種(花粉生産量は一般のスギに比べ約1%以下)、無花粉スギ2品種(花粉の生産が認められない)、少花粉ヒノキ品種55品種を開発したそうです。*5
・花粉発生源対策プロジェクトチームの設置
平成19年に設置され、10年間で5割杉を減少させることが期待されているそうです。
あと、5年後くらいには少しはましになっているのでしょうか。*6
―まとめ
一応、対策は進めようとしているようです。
非常に時間がかかる事業のようなので、気長に待つしかないようです。はぁ。
それか杉伐採税などを新たにつくり、その財源から伐採を進めてくれてもいいなと個人的には思います。
花粉対策グッズを買う代わりに納税すれば、市場規模推計1500億円が財源になるかも?
*1: 花粉症 切実な願い。杉の木を減らして
*2: 花粉症の市場規模は。
*3: 林野庁:花粉発生源対策協力金事業
*4: 林野庁: 国民参加による花粉発生源対策の推進
*5: 林野庁:花粉症対策品種の開発・普及
*6: 林野庁:今後の花粉発生源対策の推進方策について
―参考―
林野庁:スギ・ヒノキ花粉に関する情報
0 件のコメント:
コメントを投稿