中国についても調べようと思ったのですが、いろいろと複雑でよくわからなかったので、次回書いてみます。
■インド
【ポイント】
・FacebookがOrkutを抜き順調に伸びている
・モバイルを含め8100万人のインターネットユーザー、2015年には4億5000万人に
・SNSの利用者数も前年比43%増と普及を見せる
・ビジネスツールとしてSNSを利用する人が多い
・ゲーム文化はまだ未成熟なものの、その分ライトゲームが普及する可能性
【主要SNS】
1位Facebook
2いOrkut
インドのSNSはFacebookとOrkutの二強状態です。
利用状況は下のグラフから。
●facebook.com ●orkut.com
2010年の6月にFacebookが逆転し、そのまま堅調に伸びているようです。
【SNS事情】
インドにおけるSNSの概要は以下の通りとなっています。
2009年7月(人) | 2010年7月(人) | 増減率(%) | |
---|---|---|---|
インターネットユーザー数 | 3502万8000 | 3956万2000 | 13 |
SNSユーザー数 | 2325万5000 | 3315万8000 | 43 |
*家庭および職場ユーザー。ネットカフェやモバイルによるアクセスは除く 出典:comScore
世界で7番目にSNSサイト利用が多いのがインドだそうです。
利用者数も前年比で43%と急速に普及している様子。
さらに、上の数字はモバイル端末を抜いていますが、モバイルを含めると現在でも8100万人のインターネットユーザー数がいます。
マッキンゼーでは安価なスマートフォンの登場などにより、さらに普及は進み2015年までに5倍の4億5000万人に達すると予測しているそうです。*1
少し古い記事ですが、インドの携帯事情については以下のリンクが詳しいです。
【コラム】日本とインド、携帯電話の使い方
インドの携帯電話
また、インドではSNSのビジネス利用も盛んなようでインド企業の52%がSNSを有効活用しているというデータもあります。*2
また、個人のSNSの利用スタイルも日本とは若干異なるようです。
「ビジネス関係者は、ほとんど全員と言ってよいほどFacebookを使用している。ただし、その使われ方は日本と大きく違う。彼らはあくまでもSNSを「ネットワークを広げるための道具」と考えている。「誰と誰が友達になった」との話は毎日のように聞くが、日本のようにミニブログを毎日書くようなことはしない。」*3
Twitterがあまり普及していないのも頷けます。
【ソーシャルゲーム事情】
ソーシャルゲームに関する情報は少ないため、類似情報から推測していきます。
インドのゲームコンテンツ市場は2009年で120億円と推定され、前年比で3倍以上の伸びをみせたそうです。*4
しかし、インドのメディアグループUTVのチェアマンであるRonnie Screwvala氏はこう指摘します。
「インドにはビデオゲームをする習慣が根付いていません。それはインドの人々がコンテンツに対してお金を払わないことを意味します。人々は安い値段で海賊版を手に入れることに慣れており、これを変えるには一晩では無理でしょう」*5
また、インドで最大のオンラインゲームポータルサイトZapakは500万人の会員を有しているそうです。*6
インドのインターネット事情を考慮すると、思ったよりも多くの会員を獲得しているなと思います。
これらのことから、おそらくゲーム市場は全体として伸びていくでしょう。
なかでもソーシャルゲームは、ゲーム文化が根づいていないインドでは、受け入れられやすいかもしれません。
■ブラジル
【ポイント】
・Orkutが1位だが、今後Facebookに移行する可能性も
・人のつながりを重視する国民性を持っている
・バーチャルよりリアルなソーシャルグラフが強いかも
・ソーシャルゲーム界隈にも大きな動きが出てきている
【主要SNS】
1位Orkut
2位Facebook
ブラジルでもOrkutとFacebookの争いというのが現状のようです。
以前はMySpaceも人気があったようですが、今ではあまり利用されていないようです。
利用状況は以下のグラフから。
●facebook.com ●orkut.com
Googlr Trend for Websiteの集計上では、まだまだOrkutが大分上のようです。
しかし、最近は下降気味の様子。
Google Trendを調べてみると、以下のようになります。
●facebook.com ●orkut.com ●twitter.com
会員数やアクセスの上ではOrkutが未だ優勢だが、トレンドはFacebookに向かっている様子。
今後Facebookに移行していくことも大いにありえるでしょう。
また、ブラジルで苦戦しているTwitterも少しずつ注目されてきていることがわかるでしょう。
【SNS事情】
ブラジルでは、インターネットユーザーのSNS利用率が8割以上と高いことが特徴として挙げられます。
これは、ブラジル人がユーモアが好きで家族や友人同士の繋がりを非常に大切にする国民であることから来ているのかもしれません。
SNS上の友人の数が世界46ヶ国中2位であることもこれを裏付けていると言えるでしょう。*7
しかし、SNS利用者数は、3000万人程度*8であり、人口ベースで考えると15%程度しかありません。
ブラジルは未だに貧富の差は大きいため国民全体がSNSを利用出来る状況にはないためでしょう。
とはいえ、PCより安価なモバイル端末が普及すれば、2億という人口を持つブラジルは非常に魅力的となるでしょう。
また、ビジネス利用に関してはLinkedInが非常に伸びてきているようです。
成長率は世界1位で428%だそうです。
【ソーシャルゲーム事情】
ソーシャルゲームに関しても、最近伸びつつあるようです。
数字でわかるデータが見つからなかったので、以下、関連ニュースをピックアップ。
コミュニティファクトリー、グーグルの「Orkut」向けにソーシャルゲーム提供(2010/11/19)
ブラジル向けソーシャルゲームディベロッパーの「Vostu」、3000万ドル資金調達(2010/11/30)
ラテン系SNSの「Quepasa」、ブラジルのゲームディベロッパーを400万ドルで買収(2011/2/2)
また、コミュニティファクトリー代表取締役の松本龍祐氏はこのように分析しています。
「OrkutのプラットフォームはmixiアプリのPC版に比べて競争がなく、ユーザー数が多い。ブラジルのソーシャルゲーム市場は中国より1年、日本より半年遅れというイメージ。最近になって農場系ゲームが2000万ユーザーを獲得したところだ」*9
ブラジルはゲーム市場規模で言えば、南米ではメキシコに次いで大きく、長年違法コピーに頭を悩ませていたそうです。
その点から、ゲームにはある程度馴染みがあり、さらに基本無料のソーシャルゲームはかなりの可能性があるとも考えられます。
■雑感
と、ここでもFacebook vs. Google(Orkut)の様相を呈しているのが面白いですね。
日本ではほとんど知名度がないOrkutですが、一部の新興国では人気がある様子。
Facebookは新興国でもじわじわとその存在感を強めています。
ソーシャルゲームも普及していくかもしれないけれど、マネタイズは苦戦するかもしれないですね。
一方、個人的に最近一番使っているTwitterはあまり人気がない様子。
これは国民性によって合う合わないが大きいのかもしれません。
◆追記
面白い記事があったのでリンクを張っておきます。
発展する新興国.3 インドで最もググられる「〜のやり方」とは
インドでは全体の49%がモバイルオンリーのインターネットユーザ
―関連記事―
[IT]GREE Platform Forum 2011 & Award 2010まとめ
[IT] GREE,DeNA,mixiの決算比較
―参考―
*1http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2011/02/post-1986.php
*2http://indonews.jp/2010/07/-52sns.html
*3http://journal.mycom.co.jp/column/india_china/004/index.html
*4http://blog.livedoor.jp/gehaneta/archives/2682365.html
*5http://www.gamebusiness.jp/article.php?id=1952
*6http://www.secondtimes.net/news/world/20100804_zapak.html
*7http://blog.livedoor.jp/apertodemao/archives/1242047.html
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