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2011年9月22日木曜日

[メモ] TPPに関する隠された3つの嘘

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ゼミ合宿でTPPに関しての議論があったので、その時調べたことを簡単にまとめてみます。

※全体的に反対派寄りに書かれているので、その点に注意してください。

■概要
環太平洋地域における多国間経済連携協定(EPA)。
その内容は、主に関税の全面撤廃と非関税障壁の撤廃となる。

また、FTAとEPAの違いは以下のようになっており、EPAのほうがより包括的である。

FTA:関税の撤廃と物流の自由化
EPA:関税と非関税障壁の全面的な撤廃

―参加
ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール
アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシア
―不参加
中国、韓国、フイリピン、タイ、インドネシア

■経済的メリットの嘘
―試算への疑問
現在、TPPの参加に関する試算は内閣府、経産省、農水省の3つがあります。
それぞれ以下のようになっています。

内閣府:GDP2.4~3.2兆円の増加(元データ:PDF
農水省:GDP11.6兆円の損失、雇用340万人減(元データ:PDF
経産省:TPP不参加の場合はGDP10.5兆円減と雇用81.2万人減(元データ:PDF

が、どれも以下の点で疑問が残ります。

内閣府:GTAPモデルの妥当性への疑問(*1)
農水省:農業以外の産業への影響が無視。産業連関表用いたモデルの妥当性への疑問。
経産省:産業連関表用いたモデルの妥当性への疑問。

―TPP参加国への疑問
さらに、あまりテレビなどでは述べられていないのですが、TPPの参加国9ヶ国のうち米国、NZ、豪州を除く6ヶ国とFTA署名済となっています。




ここで、日本の輸出状況を元に米国、NZ、豪州を見てみると以下のようになります。

日本の輸出額
No.1 中国(20.0%)
No.2 アメリカ(14.5%)
No.3 韓国(8.4%)
No.13 オーストラリア(2.0%)
No.41 ニュージーランド(0.3%)

これでわかると思いますが、TPP=実質的なアメリカとのEPAです。
さらに言うならば、アメリカの中国包囲網とも言えるのではないでしょうか。

中国とのEPAとTPPを比べたものが、内閣府によって試算されています。



具体的な数字の妥当性には疑問が残りますが、経済へのインパクトでは中国とのEPA≒TPPと言えるでしょう。

(*1)GTAPモデルによる FTA締結の影響評価について(PDF注意)

■政治的メリットの嘘
よくTPPに参加するメリットとして、「世界の流れにのるため」などど言われますが大いに疑問です。

①中国、韓国が不在
アジア経済の流れを語る上で、この二国はどうしても外すことはできないでしょう。
中国に関しては、法制度の遅れなどから全面的に非関税障壁を撤廃するTPPに参加することはほぼないと考えて良いと思います。
米国以外のGDPで考えると、「世界の流れ」とは到底考えられません。

②日本のアメリカ依存の印象を与えるデメリット
現在、TPPを推し進めているのは他でもないアメリカです。
そのため、TPPに参加すると中国や他のアジア各国に「アメリカ依存」の印象与えてしまう可能性があります。

③TPP以外の枠組みの存在
日本に残された道はTPPしかないかのように報道されていますがそんなことはありません。
東アジア共同体構想としては、ASEAN+3などがあります。2010/10/29に行われた会議でも言及はされてはいますが、実際的な動きはないようです。(*2)

(*2)ASEAN+3首脳会議(概要)

■非関税障壁の嘘
これもあまり報道されていないですが、TPPは関税よりも非関税障壁の撤廃についてのほうが重要とも言われています。
主な対象分野は以下のようになっています。

―非関税障壁撤廃の対象
・金融、電子取引、電気通信などのサービス
・公共事業や物品などの政府調達方法
・技術の特許、商標などの知的財産権
・投資のルール
・衛生・検疫
・労働規制や環境規制の調和

TPP各国の力関係を考慮するに、これらのルールがアメリカ基準で決められるというのは大いにあり得る話です。
具体的なデメリットととして挙げられているのは以下のようになっています。

―非関税障壁撤廃のデメリット
・外国企業、外国人労働者の受け入れ問題
・食の安全(食品添加物、狂牛病、遺伝子組換え)
・金融サービスの自由化
・国民皆保険崩壊の危険性

実際、どの程度このデメリットがあるのかはまったくの不確実であるため、考慮しにくいものではあります。
しかし、このような主張もあるというのは、覚えておいて良いと思います。

■まとめ
自由貿易に関して否定するワケではなく、TPPを急ぐ必要はないというのがまとめです。
その理由として、①経済的メリットが薄い、②政治的メリットがない、③非関税障壁撤廃によるデメリットが挙げられます。

個人的には、以上のような理由から、TPPに対してリソースを割くのではなく、日本独自でASEAN+3での包括的FTA交渉を進めるほうが戦略的には良いと思います。
日本もそろそろアメリカに乗っかるのではなく、アジアでリーダーシップを発揮していかなければならない時期になっています。




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